世界最高齢の独裁者の最後はいつか?
はじめに
たしかあれは、夜遅くに通知がきました。
ムガベ大統領といえば、ジンバブエ(ジンバブエドルで有名なアレです)の独裁者なんですが、てっきり権力は盤石だと思ってました。
最近まで全く情報がなかった気がするからです。
では、ムガベ大統領についての説明を簡単にしていきますね。
ムガベ大統領
ロバート・ガブリエル・ムガベ。1924年2月21生まれで今年でなんと93歳(!)
世界最高齢の独裁者と呼ばれ、アフリカ連合の議長も務めた事もある人です。
黒人の英雄
1965年にはイギリスから独立しましたが、白人が政権を独占していました。国民のほぼ全てが黒人なのにもかかわらずです。
この白人政権は苛烈な人種差別政策を実行しており、黒人は長く苦しめられました。
そこで黒人は反白人闘争を始めゲリラ活動を取り始めます。(ローデシア紛争)
この紛争におけるゲリラのリーダーとして出てきたのがムガベだったのです。
こうした闘争によって1979年、ついに黒人の参政権が認められました。
参政権が認められるということは、多数決の民主主義のルール上、白人は実権を完全に失うことを意味しているはずでした。
しかし、白人は実権を手放す事はしませんでした。このことから、紛争は終結しませんでした。
同年末にイギリスの調停によりやっと紛争は停止し、総選挙でもってムガベ率いる、「ジンバブエ・アフリカ民族同盟」が大勝し、ムガベは首相となり、大統領制は移行後は大統領となったのです。
このようにジンバブエの黒人の羅英雄的存在となったムガベ大統領ですが、政権についてから徐々に権威主義的になってきます。
白人や野党に対して攻撃
初期のムガベ大統領の政策は、黒人と白人との協調政策であり、白人の技術力を使って順調に経済成長していきました。
(今では考えられませんが)
しかし、2000年ごろになると状況が変わってきました。1999年にジンバブエはコンゴ民主共和国へ派兵を決定します。
この頃、コンゴ民主共和国では内戦が起こっており国内の安全が保証できていませんでした。
実は、ムガベ大統領はコンゴ国内にダイヤモンド鉱山を所有していました。このダイヤモンド鉱山を守るために軍を派遣したわけです。
(さらにはコンゴの金や銅などの地下資源を狙っていた)
しかし、この派兵はジンバブエの経済に重くのしかかり、経済悪化、それに伴う教育、医療の質の低下が起こった。
派兵による悪影響はムガベ大統領批判につながり、国内外で批判の対象となった。
この批判を回避するために、ムガベ大統領は過激な政策を実行しました。
それは「白人の農場を強制収用」でありました。
いままで白人地主がジンバブエの農業を支えていたものを破壊し、その土地を黒人に分配してしまいます。
確かに黒人の国であるので土地を黒人に返すというのは、道理が通っていますが、経済的には大打撃でした。
黒人に土地を分配したことで、農業技術は失われ食糧危機、ハイパーインフレが発生してしまい、大規模な経済混乱が生じてしまいました。
(これがあの有名なジンバブエドルが生まれた背景ですね)
2005年には反対派への大規模な弾圧が行われ、住居の破壊や強制退去が実施されました。
1つの失敗がここまで国をダメにしてしまった元英雄は、どんどん独裁色を強めていきました。
終わりの兆し
この独裁はムガベ大統領が死去するまで続き、おそらくその後継者が引き継ぐと思われていました。
しかし、2017年11月15日、事は起こりました。
ムガベ大統領の私邸付近で数分の発砲。首都でも爆発が起こり国営放送が軍によって占拠されました。
軍は国営放送を通じてムガベ大統領の軟禁と、側近の逮捕を宣言しました。軍はクーデターを認めていないが、事実上のクーデタでとしてみられています。
このクーデターはどうやら、11月初頭にムガベ大統領が解任したムナンガグワ第一副大統領に軍が不満を持ったことが引き金になったようです。
軍は現在もジンバブエの国家権限を掌握しており、政権与党もムガベ大統領を下ろすことを公然と宣言しています。
いまだにムガベ大統領は辞任は考えていないと証言していますが、与党による弾劾が行われる可能性が高いらしいです。
弾劾後はムガベ大統領の解任したムナンガグワ中心の政権を目指しているようです。
ジンバブエを縛っていた元英雄の時代が終わることによって、新たなジンバブエの時代が来ることを願っています。
さいごに
少し前ではキューバの独裁者がなくなりましたが、その時も急でびっくりしました。
ある時代が終わっていくのは急だなと思います。
このような歴史の転換点をみられるのは楽しいものです。これからも世界の動向を注視していきましょう。